障害者施設の「作品展」と造形ゼミの連携による地域とつながる造形ワークショップを開催しました
2025.04.10(3週間前)
植草学園入試・広報課
「すごく安いんですね」。このワークショップは,学生のそんな台詞からスタートしました。
畑山ゼミ(造形表現・図画工作)では,学内での学修にとどまらず,子どもたちや地域とつながり,交流する中で得られる学びや経験を重視しています。その一つとして,以前からご縁のあった社会福祉法人佑啓会 ふる里学舎(以降,ふる里学舎と表記)へゼミ生と一緒に訪問し,利用者の方々の生活や作品制作の様子を見学したり,一緒に作品制作を体験したりする機会をいただいています。冒頭の台詞は,利用者の方が制作した作品の値札を発見し,学生が思わず口にしたものでした。
ふる里学舎は,定期的にショッピングセンターなどで「作品展」を開催しています。「作品展」は,利用者の方々の作品を購入することができる場で,器や工芸品,アクセサリー,生花,パンといった様々な作品が並べられています。そこには幅広い年代のたくさんの方々が買い物に訪れ,その質の高さと手頃さから,たちまち購入カゴの中身はいっぱいになります。私たち畑山ゼミは,そのように利用者の方の手から生まれた作品たちが市民に親しまれている事実を実感すると同時に,この作品たちが生まれるプロセスや作り手の想いまで紹介することができたらどうだろうか,と考えたのでした。
そこで,半年ほどの準備を経て,下記の要領で第1回目の連携ワークショップを実施しました。
【日時】2025年3月22日(土)
【場所】ユニモちはら台
【目的】
ふる里学舎の利用者,そして利用者の方々が制作した作品の魅力について,造形的な体験を通して地域の方々へ伝えていくことを目的とする。「作品展」と有機的に結びつくことを目指した体験コーナーを合計3箇所創出し,利用者の方々の作品が消費の対象にとどまらない価値として,立ち寄った購入者の方々の生活に残りつづけていくことを願って実施するものである。
体験コーナー1
利用者の方々の制作の様子や制作への想いなど動画まとめて上映する。購入した作品ができるまでのプロセスや利用者の想いを知ることができる。
体験コーナー2
ダイニングテーブルと椅子が置かれた空間があり,作品である一輪挿しや食器類が置かれている。来場者は実際に手に取り,触り心地を確かめたり並び替えたりするなどして,販売している作品が生活をどのように彩るかをイメージすることができる。
体験コーナー3
来場者が「こういう柄の食器があったらいいな」という観点で紙製の食器に形や色をデザインすることができる。完成した作品のデザインは,ふる里学舎へ共有し,利用者の方が気に入れば,実際の作品として生まれ変わる可能性がある。
当日はお子さんを中心に多くの方々が参加してくださり,ゼミ生は来場者の方々と交流したり,作品の前で思案している来場者に対してその作品の魅力について紹介したりもしました。
また,ゼミ生が編集した動画の前で立ち止まってくださる方々や,夢中で食器の柄を描く子どもたちの姿が印象的でした。
今回は第1回目の取り組みということで,一つの試みとして実施してみるという趣旨も含んでいました。
これをシングル・ケースとせず,継続的な取り組みとしてブラッシュアップしていくために,実施のあり方も含めて考え続けていきます。
植草学園大学 発達教育学部 畑山 未央