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令和4(2022)年度 千葉県長期研修生:植草学園短期大学で学んで

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令和4(2022)年度 千葉県長期研修生:植草学園短期大学で学んで

植草学園大学・植草学園短期大学では、各地の教育委員会・教育センターから委託され、現職の小学校や特別支援学校等の先生方を研究生として受け入れています。
本学の大きな特色は、“特別支援教育”“障害のある子どもの支援”等について深く学べることにあります。毎年、数名の先生方が研究生として本学で学び、本学の教員・学生とともに、研究テーマを追究します。
令和4(2022)年度は2名の先生が研究生として植草学園短期大学に在籍し、研究を深めてきました。障害等により学びにくさを感じている子どもたち、そしてその子どもたちを支える先生方の役に立つ素晴らしい先進的な研究成果を収めました。その成果報告書は「植草学園大学附属図書館」に寄贈されています。

また、『植草学園短期大学 紀要第24号』(2023.3)にもその一部が収録されています。インターネットで検索可能ですので、ぜひ、ご覧ください。

こども未来学科 佐藤愼二

(左:方波見先生 右:土井先生)

研究テーマ『コミュニケーションを活性化するための指導の工夫−特別支援教育オンライン交流学習を通して−』香取市立佐原小学校 教諭  方波見 直也

一年間、千葉県長期研修生として、佐藤愼二先生の下で学ばせていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。
この一年間は、「オンラインの世界でのコミュニケーション」について研究をしてきました。「リアルの生活ではコミュニケーションを苦手としていてもオンラインの世界では生き生きと活動できる。」
そのような児童の様子ならばがあるならば、得意のオンラインの部分を学校でも活用していけば、その児童の可能性が広がっていくと信じて研究を続けていきました。
途中研究がうまくいかないことも多く、何度も佐藤先生には助けていただきました。佐藤先生の指導の軸となっていることの一つに「子どもの興味・関心に基づいた教材・活動」というものがあります。授業を構築していく上でも、「どのようにしたら児童が楽しく取り組めるか」ということを念頭に置いて研究を進めていった記憶があります。
この一年間で学んだ研究の方法は今後の教員生活においても非常に貴重となるものです。このような充実した環境を与えていただいた植草学園短期大学、大学の方々の多くのサポートに感謝しております。
今後も千葉県の通級指導教室の指導の充実のために努めていきたいと思っております。一年間ありがとうございました。

研究テーマ『『通常の学級における教育的ニーズのある児童への行動支援の工夫-ユニバーサルデザインの視点に基づく、大型ディスプレイによる自作支援ツールの活用を通して-』習志野市立谷津小学校 教諭 土井 淳

佐藤愼二教授を師事して1年間、「ユニバーサルデザイン」や「発達障害の可能性のある児童の特性」等、多くのことを学ぶことができました。
中でも、通常の学級で学ぶ全ての児童を対象とする「特別ではない支援教育」は、私が目指す学級づくりに合致していて、本研究においてとても重要な根幹となりました。
授業実践で活用した聴覚に訴えた視覚支援ツールは、教育的ニーズのある児童に対して、個別支援をせずに、集団行動を促すことを目的としました。個別支援をすることで、「自分はみんなよりできない。」と自己肯定感を失うことなく、ツールからの情報で、「みんなと同じように自分も出来た。」と思わせることが複数の場面で達成することができました。
研究を通して分かったことは、支援ツールがあれば誰でも改善できるわけではありません。自作支援ツールを対象とする児童のために、どうしたら行動できるか考える教員の思いが、子ども達に伝わったからこそ有効性が示されたのだと感じました。
つまりICT以上に教員の思いが子ども達にとって重要だと本研究から学ぶことができました。
ICTをいつでも活用できるようになり、私たち教員にとって便利で教えやすいツールが多くありますが、教師の使う意図や使い方がとても重要です。本研究でも、効果音が児童の注目にとても効果的であったことが示唆されましたが、一方で音を苦手とする児童も一定数いることが分かりました。
その新たなマイノリティに対して、音量の調節や声で伝えて音を出すなどの改善を行い、ユニバーサルデザイン化へ工夫改善を行いました。この工夫改善は、指導する身として一生向き合わなくてはいけない課題であると佐藤先生の指導の中で学びました。

3月に研究を終えて、所属校に戻ると第5学年の児童が国語「みすゞ探しの旅」の学習をしていました。有名な『私と小鳥と鈴と』の「みんなちがって、みんないい。」の詩が、私の研究の本質であると感じました。この詩にあるように、学級にいる児童一人ひとりの個性を認めて、お互いに認め合い、高めていけるような学級づくりをしていきたいと思います。

1年間、充実した研究をサポートして下さった佐藤愼二先生をはじめ、何不自由なく学ぶ環境を提供して下さった植草学園短期大学の関係者の皆様に感謝申し上げます。1年間、ありがとうございました。

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