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植草学園大学 国際交流委員会企画「2023年度カンボジア研修」を実施しました

トピックス 大学 発達教育学部PickUP

 2023年2月15日(木)~22日(木)までカンボジア王国にて本学の国際交流委員会が企画した海外研修を実施しました。
 カンボジアは,インドシナ半島の中央に位置する王国で,ベトナム,タイ,ラオスに国境を接しています。研修先は同国の北西部にあるシェムリアップ州です。シェムリアップ州は,アンコールワットをはじめとするクメール王朝の遺跡群が往時の栄華を偲ばせる観光都市です。
 カンボジアは,熱帯モンスーン気候に属し,年間を通して主に2つの季節(雨季・乾季)で成り立っています。私たちが訪問した2月下旬は乾季にあたり,比較的過ごしやすいとは言われていますが日中の気温は35度前後にも達します。学生も引率教員も寒暖差による体調の変化に気をつけながら,異文化に触れる面白さを体感し,各々の観点から学んできました。
 研修は下記の日程で実施しました。カンボジア研修を紹介するにあたり,「観光」,「歴史」,「暮らし」,「経済」,「伝統文化」,「食」など,様々な切り口からお伝えしたいところですが,今回は「教育」の観点から,視察先での学生の実践のごく一部を切り取って紹介したいと思います。


画像①:旅程

 今回の海外研修では,3日目に市内のモデル校である小学校へ行ってきました。そこでは,まず現地の先生方から学校の概要やカリキュラムの説明をいただき,質疑応答の時間を経たうえで教室の視察をさせていただきました。そしてその後には,学生たちと児童が折り紙遊びで交流する時間もいただきました。授業研究に熱心な先生方や明るく友好的な子どもたちと時間を共にし,保育者・教師を目指す学生にとっても,私たち教員にとっても学ぶべき視点がたくさんありました。


画像②:学生による折り紙交流

画像③:SALASUSUにてインタビュー

画像④:アンコールワット遺跡

画像⑤:トンレサップ湖水上生活の様子

 最後に,本学はインクルーシブ教育を理念としていますので,障害のある子どもの教育の場についても少し触れます。カンボジアにおいて,障害のある子どもが教育を受ける場は大きく3つあるようです(参考:JICA国際協力機構「カンボジアの教育制度」より)。
 一つ目は,通常学校(Mainstream/ Inclusive Classrooms)です。しかし,現状では障害のある子どもが通常学級で学ぶ機会は限られています。本研修では,視察先の小学校で障害のある児童が課題が終えられるまで,先生と他の児童が温かく見守っている場面にも遭遇することができました。時には保護者が支援に入ることもあるそうです。二つ目は,統合学校・リソース教室(Integrated Classrooms)です。これは通常学校の中にありますが,通常学級とは異なる学級で,障害のある子どもの教育的ニー ズに応じた教育が提供されます。そして三つ目は,特別学校(Special Schools)です。通常学校とは異なり,障害に応じた教育を提供する学校です。国が教員の給与を補填し,NGOが運営する場合が多いです。いずれの場合も比較的新しい概念である発達障害についての一層の理解と,環境の整備,専門知識を有する教員の増員が必要なことが課題に挙げられています。上記の学ぶ機会のあり方は,日本の教育制度と重なります。同時に,我が国の教育に翻って考えるべき重要な課題も孕んでいます。国際交流を通して海外の文化を知り,観光地を巡って楽しむとともに,私たちが学びの対象としている教育についても学生の皆さんと視野を広げて考え合うきっかけになりました。         
発達教育学部 助教 畑山未央

 

カンボジアの教育制度(出典:JICA国際協力機構 カンボジアサイト)
https://www.jica.go.jp/domestic/yokohama/information/topics/2023/__icsFiles/afieldfile/2023/07/31/cambosia_3.pdf (URL retrieved at 2024.03.20

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