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子どもたちが共によりよく過ごせる保育を探究して

大学 発達教育学部

発達教育学部  広瀬 由紀

 

大学では、学生が各教員の研究室に所属し、2年間少人数でのゼミナールを行います。本研究室では、どの子も共によりよく過ごせる保育について、研究室の学生と一緒に考えており、毎年、3年次の学生と横浜の幼保園と東京の幼稚園へ見学を行っています。この2つの園は、障害のある子などを特別視せず、多様な子がいることを前提とし、保育(環境や働きかけなど)がどこまで柔軟に対応できるか、の視点を持ちながら展開をしている園です。昨年度の見学を元に、今年度、研究室所属の学生が報告書を作成しました。テーマは、それぞれがグループもしくは個人で興味・関心を持ったこととしています。

 

報告書の一部

(報告書の一部)

 

 

【報告書より】

○  私が、最もよく見ることができた場面が「お絵かきの活動」である。お絵かきの導入として絵本を読み聞かせし、その絵本を通して子どもたちが感じたことをクレヨンで好きなように描いていく、という活動内容だった。最初に驚いたのが机をきっちりと並べて椅子に座りみんなで一緒に活動を始めるのではなく、床に寝っ転がりながら描く子どもたちもいれば、別の場所で友達と仲良く書いている子どもたちもいる。保育者はその様子を見守りながらも子どもたちの活動を制限するような声掛けをする様子はない。私が思わず、「今はクラス活動の時間なのか」と隣にいた友人に聞いてしまった。それほど今まで見てきた「みんなで一緒」の活動とかけ離れていた。(中略)集団行動が苦手な子どもたちにとって「みんなで一緒」の活動は難しいと思われがちだが、環境次第で変わるものなのなのだと強く感じた。保育者の負担は大きくなるかもしれないが、全ての子どもたちが一緒に思い出を共有出来るような環境を作っていくことが保育者としての役割だと思うし、私もそのような保育士になりたい。

 

○  園では、支援を要する子に保育者がつきっきりではないので、子どもどうしの関わりが多いのだと思った。(中略)子どもたちは、「障がい」「支援」「助ける」という考えをもって支援を必要とする子たちと関わっているのではなく「同じクラスの友だち、同じ幼稚園の友だち」として支援を必要とする子と関わっているように感じた。

 

 

また、普段、本研究室等でお世話になっているさまざまな園とともに、多様性を前提とした「インクルーシブ保育」について、50の実践例を集め「はじめてのインクルーシブ保育」というタイトルで1冊にまとめました。今後も引き続き、実践に学びながら学生と一緒にどの子も共に育ち合う保育について探究していきたいと思っております。

 

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